【ネタバレ有】佐藤正午『熟柿』をAudibleで聴いた。同居人サイトウへの怒りと、タイトルの意味に納得した日

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この記事にたどり着いたあなたも、もしかしたらこんなモヤモヤや疑問を抱えているのではないでしょうか?

 「佐藤正午さんの話題作『熟柿』って、実際のところどんな内容なの?」

 「主人公に次々と降りかかる不幸や、登場人物のイライラする行動について知りたい」

 「タイトル『熟柿』に込められた本当の意味や、ラストの結末が気になっている」

第23回本屋大賞で第2位に輝き、各所の書評でも絶賛されている佐藤正午さんの長編小説『熟柿』。今回は、その人気作品、人間ドラマをAudible(耳で聴く読書)でフル体験した50代の私が、ネット上のレビューや世間の声も交えつつ、偽りのない本音の感想を徹底的にお届けします。  

冒頭の事故と、同居人「サイトウ」という名の災厄


物語は、大雨の夜に主人公・かおりが起こしてしまった不慮の交通事故から始まります。助手席には泥酔して眠りこけた夫。事故直前には、友人からの電話があったりなど、「これは何か起こる前触れだな」と感じとれます。

そして、親戚のおばさんに似た人を轢いてしまいます。しかし、かおりはこの時まさか人間だとは思わないまま、その場を去ってしまったことで、彼女の人生は取り返しのつかない方向へと狂い始めます。  


最後から振り返る、この時の旦那の行動が最悪と言っていいでしょう。

事故の時、すでに妊娠中であったかおりは、服役中に息子を出産するも、夫には離婚され、子どもとは引き離され、行く先々で過酷な現実が待ち受けます。。


もう見事なまでに・・・

その流浪の人生の中で出会うのが、同居人となる「サイトウ」という人物です。


マジ、こいつが災厄です

  

これがもう、読んでいて(聴いていて)本当に頭に血が上るほどの災厄っぷり。ネットのレビューでも「イライラする」「身近にいたら絶対に無理」と総ツッコミを受けているキャラクターですが、主人公の作中での金庫や通帳の管理の甘さも含めて、「いや、そこは普通もっと警戒するやろ!」「自分なら絶対に肌身離さず持っとくわ!」と、思わずツッコミを入れずにはいられませんでした。

他人と暮らすことの怖さ、そして他人がもたらす悪意や無神経さが、あまりにもリアルに描かれていて、聴いているだけで胃がキリキリと痛むような感覚になります。


今、思い出しても、サイトウには腹が立ちます・・・

ネットのレビューでも賛否両論?主人公の「危うさ」と共感


世間のレビューを見渡してみると、とても高い評価ついています。というか、ほぼ高評価です。


熟柿』に対しては大きく分けて次のような感想が見られます。

 「不幸の連続でとにかく重く、心が削られる」

 「主人公の脇の甘さや、流されやすい性格にヤキモキする」

 「元夫の卑怯さや、男たちの無責任さに強い怒りを覚える」

そう、主人公のかおりは、決して「完璧で強いヒロイン」ではありません。むしろ、どこか気弱で、自分で運命を切り拓くセンスがなく、周囲の環境や人間関係に流されてしまう「危うさ」を持っています。

だからこそ、「なんでそっちの選択をするんだよ!」とか「なんでそんな行動するんだ!」と歯痒く感じたり、イライラしたりする読者も少なくありません。という私もそうです(笑)


しかし、だからこそこの物語は作り物ではない「生々しい人間の姿」として胸に刺さるのです。車を運転する身として、事故の描写や、そこから逃げてしまった代償の重さは、我がことのように背筋が凍る思いがしました。  

事故したら、いや事故かもしれない、人を轢いたかもしれない、と思った時は必ず車から降りて確認しよ。と再確認させらた作品でもありました。

救いとなる人たちと、胸を締め付ける「母の想い」


本当に最後の最後まで絶望的な状況が続く中でも、幼なじみのサキちゃんやそのお母さんのように、そっと寄り添ってくれる温かい存在も描かれています。また、母親として「会いたいけれど会えない」息子への狂おしいほどの想いが、物語の軸としてずっと流れています。  


サキちゃんが居なければ、どうなっていたか・・・

息子に少しでもお金を残そうと生命保険の受取人を考えたり、遠くからその成長を見つめようとしたり。その不器用で切実な母の姿には、性別や立場を超えて、胸を熱くさせられるものが確かにあります。

元夫の身勝手さや無責任さ(警察官でありながら責任を妻に押し付けたかのような態度)に対する怒りを抱えつつも、人間のそれぞれの気持ちが表されています。

最後の最後に納得。「熟柿」というタイトルの本当の意味


物語の終盤、ついに息子と再会を果たすシーンが訪れます。そこにあるのは、ドラマチックな大団円ではなく、お互いに距離感を測りかねる、言葉にできないリアルな空気感です。  

そして、タイトルの由来でもある「熟柿(じゅくし)」という言葉に行き着きます。

――熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと。  

自分でコントロールできない現実があり、どれだけ足掻いても変えられない時間がある。人生には、ただ「その時が熟すのを待つしかない」局面が存在するという残酷さと、それを受け入れた先にわずかに差し込む光。

すべての謎や真相が回収され、ラストを迎えたとき、このタイトルが持つ意味の深さに心底納得させられました。「あぁ、この物語はまさに『熟柿』そのものだったんだな」と、じわじわと込み上げてくる余韻が凄まじいです。


佐藤正午さん、お見事!!

こうした重厚で心理描写が緻密な小説こそ、Audible(耳で聴く読書)との相性が抜群です。  

プロのナレーターによる落ち着いた朗読によって、主人公の息遣いや、地方を転々とする寂しい感じ、登場人物たちの生々しいセリフが、まるで自分の記憶のように頭の中に染み込んできます。文字を目で追うのとはまた違う、重みと臨場感を味わうことができました。

にしても、サイトウの声はまさに、サイトウという人間の声でした


実際に聴いてほしいなぁ~(笑)


最後に、私はこの「熟柿」を図書館で予約していました。しかし人気過ぎました。その待ち人数120人。。これっていつ私の順番が回ってくるのか?という諦めていたところに、Audibleで聴けたのです。これはとても嬉しかった♪


では、また次回までさようなら!


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💡 まとめ:『熟柿』はこんな人におすすめ

✓人間の光と影、取り返しのつかない過ちと向き合う本格文学が読みたい人

 
✓登場人物のリアルな感情の揺れ動きや、心理描写にどっぷり浸かりたい人

 
✓読後に深く考えさせられる、余韻の残る名作に出会いたい人

決して万人が手放しで「明るい気持ちになれる」ような作品ではありません。しかし、人生のほろ苦さや人間の業をここまで突き詰めた、間違いなく時代に残る傑作です。気になっている方は、ぜひ耳からその重厚な世界に飛び込んでみてください。

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