本の表紙から、猫が活躍する想像をしていた
しかし、猫はそんなに出てこないし、活躍もしない
至って普通
淡々と進む物語
この記事にたどり着いたあなたも、もしかしたらこんなことを考えていませんか?
「八木沢里志さんの『きみと暮らせば』って、どんな雰囲気の物語なの?」
「猫が登場するストーリーだと聞いたけれど、実際のところ見どころはどこ?」
「大きな事件やハラハラ感はないって本当?読んだ人のリアルな感想が知りたい」
今回は、『森崎書店の日々』などで知られる八木沢里志さんの小説『きみと暮らせば』を読んだ私の、偽りのない本音の感想をじっくりとお届けします!
『きみと暮らせば』はこんな人におすすめ
血の繋がらない家族や、不器用ながらも支え合う人間ドラマが好きな人
刺激的な展開よりも、淡々と流れる穏やかな日常の物語に癒やされたい人
人々のささやかな絆を感じたい人
◆あらすじ
だから今日も、うちに帰ろう。
猫の肉球、ポトフ、あいまい弁当。
幸せのにおいがつまった、兄弟物語。
十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄弟になったが、五年前に両親は他界。
中三のユカリは継母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支えあいながらの二人暮らし。
ある日、庭先に猫が現れる。
二人は猫を飼い主らしき人へ届けに行くのだが。。
のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。
血の繋がらない兄弟の暮らしにやって来た「一匹の猫」
親の再婚によって血の繋がらない兄弟となり、のんびり屋の兄としっかり者の妹という二人きりで支え合いながら暮らしている日常。そんな彼らの庭先に、ある日ひょっこりと一匹の猫が現れたことから、物語は動き出します。
この、「のんびり屋の兄」の声ですが、
本当にのんびり屋って感じを出してます(笑)
「猫と一緒に暮らし始める」というあらすじやタイトルから、勝手に「猫が中心のほっこり動物小説なのかな?」と想像して読み始めたのですが……実際にページをめくっていくと、いい意味でその予想は大きく裏切られました。
メインは猫ではない?「くっ付きそうで、くっ付かない」絶妙な距離感
この物語の真のメインは、決して猫ではありません。あくまで主役は、血の繋がらない「兄弟」の二人の関係性です。
物語を通して、劇的な盛り上がりや、手に汗握るようなハラハラドキドキする展開はほとんどありません。大きな事件が起きるわけでもなく、淡々と、静かに日々の生活が流れていきます。
血の繋がらない兄と妹、お互いを大切に想い合っているはずなのに、どこか「くっ付きそうで、くっ付かない」、絶妙で少しもどかしい距離感がずっと続いていきます。この穏やかで淡々とした空気感が、この小説の持ち味でもあります。
猫を登場させた意味はあったのか…?読後に残る疑問と味わい
読み進めるうちに、ふと「あれ、物語の中で猫ってそんなに活躍したっけ……?」という疑問が頭をもたげてきます。猫が物語を大きく動かしたり、奇跡を起こしたりするような展開は特にありません。
では、なぜ猫を登場させたのか。
それはきっと、血の繋がらないぎこちなさや、どこか冷えてしまいそうになる日常の隙間に、ふっと温かい風を送り込むための「触媒」のような存在だったからなのかなと感じます。劇的な活躍はないものの、猫がいることで、二人の間の不器用な会話や、ささやかな日常のワンシーンがより優しく、愛おしく感じられる――そんな、じんわりと心に染み入るような役割を持っていたのかもしれません。
劇的な刺激やハラハラ感を求める人には少し物足りなく感じるかもしれませんが、日常の静かな優しさを味わいたいときには、そっと寄り添ってくれるような一冊でした。
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